
メンズ美容は、特別な趣味から日用品の近くへ
メンズ美容市場という言葉は、以前ほど遠いものではなくなってきた。
ロフト、東急ハンズ、ドン・キホーテ、マツキヨココカラの売場では、洗顔料、化粧水、乳液、日焼け止め、BBクリーム、アイブロウまで、男性が手に取りやすい商品がまとまって並ぶ。
ギャツビーやunoのような長く知られたブランドに加え、BULK HOMME、NULL、ORBIS Mr.など、スキンケアを前面に出すブランドも目に入りやすい。
関心の入口は、大きく見た目を変えることだけではない。
清潔感を保ちたい。
肌荒れを目立ちにくくしたい。
オンライン会議で疲れて見えたくない。
写真を撮る場面で少し整えたい。
そうした実用的な理由が、メンズスキンケアやメンズメイクとの距離を縮めている。
美容という言葉に抵抗がある人でも、身だしなみの延長なら試しやすい。
売場の広がりは、その受け止め方の変化とも重なっている。
初めてでも選びやすい棚が増えた
店頭で見るメンズ美容市場の変化は、商品の数だけでは語れない。
買いやすさが変わったことも大きい。
女性向け化粧品売場に入りにくいと感じる人でも、メンズ向けの棚なら、洗顔、保湿、UV対策の順に選びやすい。
ドン・キホーテでは価格帯の幅があり、ロフトではパッケージや香りにこだわった商品が目立つ。
マツキヨでは日用品の買い物ついでに、ニベアメン、メンズビオレ、unoなどを手に取りやすい。
売場ごとに入口が少しずつ違うため、買う側も自分に合う場所を選びやすくなっている。
説明文も生活に寄ってきた。
さっぱり、ベタつきにくい、白浮きしにくい、ヒゲそり後にも使いやすい。
こうした言葉は、使用場面を想像しやすい。
BBクリームやコンシーラーも、化粧というより肌色補正やクマ隠しの文脈で並ぶことがある。
初めて買う人が気にするのは、華やかな仕上がりよりも、失敗しにくさである場合が多い。
男性専用に閉じないことも広がりにつながる
興味深いのは、メンズ美容市場が男性だけに閉じていない点だ。
家族やパートナーと共用しやすい日焼け止め、香りの少ない保湿剤、シンプルなパッケージの商品は、性別を問わず選ばれる。
無印良品のスキンケアやキュレル、ニベアのように、誰が使っても違和感の少ないブランドは、メンズ美容の入口にもなりやすい。
ECでも似た動きがある。
Amazon.co.jp、楽天市場、ZOZOCOSMEでは、口コミやランキングを見ながら比較できるため、店頭で相談しにくい人も候補を探しやすい。
ただし、肌質や色味は画面だけでは分かりにくい。
ネットで候補を絞り、ロフトやアットコスメストアのようにテスターを試せる場所で確認する。
そんな買い方も自然になっている。
話題で終わらず、習慣に残るか
メンズ美容市場は広がっているように見えても、最後は生活に残るかどうかが問われる。
洗顔後に化粧水を使う。
外出前に日焼け止めを塗る。
必要な日にだけBBクリームを使う。
小さな行動が続くには、価格、置き場所、香り、使用感が合っている必要がある。
高機能であることより、毎日使いやすいことが選択の基準になる人もいる。
企業には、若年層だけでなく、営業職、接客業、管理職、リモートワーカーなど幅広い社会人に届く説明が求められる。
男性向けを強く打ち出すだけでは、かえって手に取りにくい場合もある。
身だしなみとして自然に提案できる売場が、今後も支持される可能性はある。
メンズ美容市場は、特別な趣味の領域から、日用品と化粧品の中間へ移っている。
次に見るべきは、メンズメイクの話題性だけではない。
洗顔、保湿、UV対策がどこまで普通の買い物に溶け込むかだ。
美容情報には個人差があり、肌に不安がある場合は専門家に相談したい。

















