
商店街の入り口にある、1階が店舗で2階が住居というスタイル。
かつては商売と生活が直結した、合理的で活気あふれる住まいでした。
しかし、2026年の現在、こうした「店舗付き住宅」は、不動産市場において最も扱いの難しい「お荷物」となりつつあります。
背景にあるのは、地方都市や郊外の商店街が抱える絶望的なまでの衰退です。
シャッターが閉まったままの店が並ぶ通りで、1階の店舗部分にテナントが入る見込みは極めて低く、かといって住居にリフォームするには膨大なコストがかかります。
店舗としての構造ゆえに耐震性や断熱性に問題を抱えているケースも多く、資産としての魅力はゼロに近いのが現状です。
この物件を相続した子世代にとって、店舗付き住宅はまさに呪いです。
自分が商売を継ぐ意思がない場合、1階の空き店舗はただのデッドスペースとなり、固定資産税だけを押し上げます。
賃貸に出そうにも、活気のない商店街に店を出そうという奇特な商売人は現れません。
かといって、建物を解体して更地にするには数百万円の費用がかかり、解体後は住宅用地の特例から外れて税金が数倍に跳ね上がる。
売ろうにも、用途が限定的な建物は買い手がつかず、結局は放置され、街の景観を損なう空き家となっていく。
この「出口戦略のなさ」こそが、店舗付き住宅が淘汰される最大の理由です。
さらに、建物の老朽化が追い打ちをかけます。
1970年代から80年代に建てられた店舗付き住宅は、現代の省エネ基準やバリアフリーとは程遠い設計です。
大きなショーウィンドウは熱を逃がし、急な階段は高齢者の生活を拒みます。
住宅としての快適性を追求すればするほど、店舗部分の存在が邪魔になる。
この構造的な矛盾が、今の不動産ニーズと決定的にズレているのです。
かつて街の顔として輝いていた場所が、今や街の活力を奪う象徴となってしまう。
2026年、店舗付き住宅は「職住一体」の理想から「負債一体」の現実へと転落しました。
この負の遺産をどう処理するか、日本中の多くの家族が、答えのない問いに頭を抱えています。



























